とても個人的な話をします。これはただの、「ワタシ」個人の話。 でも、何かにつながるかなって思うから、話してみます。
ワタシって、昔から人を頼るのが苦手です。 というか、「人を頼る」「人に助けてもらう」という手段が自分のなかになかった。「自分でするのが当たり前○」で「自分でできなければ×」という想いが、 どんどん育って、「できること」がワタシ自身を縛る評価基準になっていました。「ひとりでやる」が当たり前。「できたこと」を評価するのが当たり前だった。でも、それだとしんどいんですよね。そんな頃に、高齢者介護の仕事に就きました。生きていくために人の手伝いが見える形で必要な、じーちゃん、ばーちゃん。接していくうちに、ふと思ったんです。「あ、こんなふうに人に助けてもらったらいいんだ」って。というか、それが「当たり前」なのかって。ほんとうは、できない自分をさらけだして、「手伝ってほしい!」って言いたい。ほんとうは、泣いて甘えたい。そんなワタシがいるなぁって、ジワジワ実感します。そして、最近思うことは、 「人」って一人で「人間」って思っていたけど、もしかしたら違うかも、ということ。耳が聞こえない人と手話通訳者、車椅子に乗っている人と車椅子を押す人、白杖を持ってる人とその人に肘をかす人。二者間に流れる空気感がすてきだったんです。まさに一体・感。「助ける助けられる」という概念からではなく、何かによってつながれた二者。人を別々の個体じゃなくて、その二者間や複数人の他者間を「人間」ってとらえたら、 ワタシは、どんな人間になれるんでしょうか。 ワタシとあなたで、どんな新しい人間が生み出されるのでしょうか。 きっと、ひとりで無理して頑張るより、たくさんの感動とワクワクがあるんだろうな。
(文・宝本いつみ)